内縁関係・事実婚の税制や社会保障制度について

事実婚をとりまく税や社会保障制度〕
ここ数年ドラマ等の影響もあり法律上の届出をしていない“事実婚”が注目されている。
しかし税制や社会保障制度の面では事実婚のような内縁関係にある男女は法律上の夫婦と区別されるため、異なる取扱いを受けることもある。

事実婚の税制〕
税制でいえば夫婦を対象とした制度として所得税配偶者控除相続税の配偶者の税額軽減等が挙げられるが
その適用対象は民法の規定により効力が生じた婚姻に基づく配偶者とされている(所基通2-46、相基通19の2-2等)。
また、小規模宅地特例も被相続人の親族が取得した宅地でなければ適用できない(措法69の4③)。
したがって事実婚の相手方はこれらの制度を適用できないこととなる。

 

 


事実婚社会保障制度〕
他方で社会保障制度については一定の書類等で内縁関係を証明すれば法律上の夫婦と同様に取り扱われる。
これは厚生年金保険法等で「配偶者」・「夫」・「妻」には婚姻の届出をしていないが、
事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含むという旨が規定されているためだ(厚年法3②、国年法5⑦)。

 

 

〔具体例〕
例えば一般企業に勤める事実婚状態の男女のどちらかが専業主婦(夫)になるとする。
この場合、引き続き企業に勤務する者(被保険者)が「被扶養者(異動)届」及び「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」に、
内縁関係にある両人の戸籍謄(抄)本や被保険者の世帯全員の住民票(個人番号の記載がないもの)等を添付して事業主へ提出すれば専業主婦(夫)となった者を第3号被保険者とすることができる。
第3号被保険者となった者は、国民年金保険料の納付が免除されると同時に健康保険の被扶養者となる。

ところで、上述のような夫婦を対象とした税制ではないが同族会社の判定等では特殊関係者として内縁関係者も株主等の範囲に含むこととなる。

 


〔まとめ〕
事実婚において税制と社会保障制度では適用要件が異なる。

・税制では、夫婦が受けられる控除や減税を事実婚では受けられない。

社会保障制度では夫婦と事実婚とで受けられる制度に違いがない。

 


〔ちなみに〕
僕はあのドラマを見ていないんですが、
あのドラマが流行っている時期に見ていないと言えば周りから「じゃあ何見てるの?」と相当詰め寄られたことがあります。
僕はテレビは警察24時しか見ないんですよ。
それはさておき、もちろん人の生活の形は様々あっていいと思いますが、こと税制だけ見れば夫婦という形はやはり有利なように制度が形成されていますね。
配偶者控除は共働きをしている場合は特に影響はないかと思いますが、相続税配偶者控除と小規模宅地の特例なんかは大きいですね。