海外での災害等への寄附金

〔寄附金の取扱い〕
2018年2月に台湾東部でマグニチュード6.4の地震が発生し、ホテル等複数の建物が倒壊・損壊した。
日本でも現地の被害状況が各メディアで報道されており、
個人や法人で寄附を行った、あるいはこれから寄附を行う場合もあるだろう。

寄附金を支出した場合は、個人は寄附金控除、法人は損金への算入が認められる場合があるが、
海外での災害等への寄附金は、基本的に個人については「特定寄附金」に該当すれば寄附金控除の対象となり、
法人については「一般寄附金」に該当することとなる。

 

 

 

〔個人での寄附金〕
まず、個人で寄附を行う場合を考えると、
個人が特定寄附金を支出した際は、2,000円を超える部分が寄附金控除として所得金額から差し引かれることとなっている(所法78)。
寄附先の代表例としては「日本赤十字社」に対し海外救援金という形での寄附が挙げられる。
この場合は「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当し、特定寄附金の範囲に含まれるため、
基本的に寄附金控除の対象となる。

一方、実際に災害が起きた現地の赤十字社や、現地政府が指定した口座に寄附金を直接振り込んだ場合は、
特定寄附金には該当せず、「一般寄附金」となり所得控除の対象外となってしまう。

 

 

〔法人での寄附金〕
法人については、海外への寄附金は基本的に「一般寄附金」に該当する。
このため、その法人の資本金等の額、所得の金額に応じた一定の限度額までが損金に算入されることとなる。

ただし「日本赤十字社」に対し海外救援金という形で寄附した場合は、
一般寄附金とは別枠で、寄附金の額の合計額と特別損金算入限度額とのいずれか少ない金額の範囲内で損金算入が認められる(法法37)。

 


〔まとめ〕
・寄附を行うと個人・法人ともに寄付金控除が受けられる場合がある。

・寄附のやり方によっては、特に個人は寄付金による控除が受けられない。

 


〔ちなみに〕
寄附をするということは素晴らしい事だと思います。
日本も災害が発生した時は国内・海外問わず寄附を募り、その寄附により復興することができています。
寄附金による控除を受けるために寄附をするのではなく、
復興を願う気持ちでの寄附により結果的に控除を受けられるようになった。という構図での利用が一番の理想ですね。