電子メールの保存と留意点

 

〔電磁的記録による保存とは〕
国税庁の統計によると、平成28事務年度末における電磁的な記録による保存等の承認件数は累計約19万件だったという(国税庁統計情報「電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況」)。
原則、帳簿書類は紙により保存するが、一定の要件を満たし、この承認を受けた企業については電磁的記録による保存が可能となる。
電子帳簿保存法において、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む)は、
いわゆるEDI取引などと共に「電子取引」に該当するとされている(電子帳簿保存法取扱通達2-3)。
電磁的記録により保存ができる企業等が「電子取引」を行った場合は、原則として、その取引情報に係る電磁的記録を各税法が定める期間保存しなければならない(電帳法10)。

 

 


〔電子メールによる取引の具体例〕
具体的に,電子メールにより取引情報を授受する取引に当たるものは、
注文書や契約書、領収書等をやり取りした電子メール等である(電帳法2六)。
領収書等がPDFで添付されている場合はPDFだけでなく、電子メールも保存する必要がある。
他方で、モノやカネの流れに直接的なかかわりのない設計図案や原稿等のみをやり取りした電子メールについては保存の対象外となる。

 

 

〔電磁的記録とは〕
なお電磁的記録とは、サーバやCD・DVD・フロッピーディスク・磁気テープ等に情報が記録・保存された状態にあるものをいう
(国税庁電子帳簿保存法Q&A」【電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係】問2)。
これらは記録状態の劣化等によって保存期間中に確認ができなくなってしまう可能性もあることから、法令上の要件ではないが、バックアップデータを保存することが望ましい(同「Q&A」問15)。

 


〔まとめ〕

・今までは紙ベースでの資料の保管についてばかりアナウンスされてきたが、電子メールの保管も必要となってきた。

・領収書・請求書・注文書等を紙媒体ではなくメール等の電子媒体での取扱いが浸透してきた事が背景にあると伺える。

会社法で各種資料の保管期間はばらばらであるが、主な帳票類は7年間の保管が必要であるので電子メールもそれに準ずる。

 


〔ちなみに〕
電子媒体での取り扱いが浸透してきたって書きましたけど、未だにFAXとか使って注文してる会社ありますもんね。
正直時代遅れも甚だしいと思いますね、こういう慣習みたいなのが資料保管の新しいアナウンスの遅れになっていると思うんですよね。
7年間も紙で資料を保管したらとんでもない量になりますよ。しかも埋没してしまう可能性だってあるし。
実務のスピードに法整備は追いつけないとは常々思っておりましたが、ここまで差が出てくるとは思いませんでした。
それだけ技術の進歩がめざましいのか法整備に時間がかかるのか。
常に新しいものに触れて情報感度を高くしていきたいですね。