社宅の家賃と給与課税

〔社宅貸与による給与課税〕
企業が役員に対して社宅を貸す場合、その役員から賃貸料相当額を受け取っていれば給与として課税されることはない。
しかし賃貸料相当額より低い家賃であれば賃貸料相当額と家賃の差額、無償であれば賃貸料相当額全額が課税対象となる(所令84の2、所基通36-40等)。

 

 

 

〔賃貸相当額の算定方法〕
役員に係る賃貸料相当額は、その社宅が「小規模な住宅」に該当するか否かで算定方法が異なる。
小規模な住宅とは、
○法定耐用年数が30年以下の建物の場合、床面積が132㎡以下の住宅

○法定耐用年数が30年超の建物の場合,床面積が99㎡以下の住宅のこと(所基通36-41)。
「小規模な住宅」に該当しない場合、その社宅が自社所有のものか、他から借り受けたものかでさらに別の算定方法が定められている。
例えば自社所有の場合には{その年度の家屋の固定資産税の課税標準×12%(木造家屋以外の家屋については10%)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×(1/12)で求められる(所基通36-40)。

 

 

〔社宅を複数借りる場合の小規模住宅の取扱い〕
ところで、会社の借上げ社宅に家族と住んでいたが、転勤で単身赴任することとなり。やむを得ず2つ目の社宅を借りるケースがある。
この場合「小規模な住宅」に当たるのか否かはその社宅の床面積の合計で判断するとのこと。

法定耐用年数が30年以下の社宅を東京と大阪にそれぞれ1つずつ借りた場合(いずれも自社所有の社宅とする)、
東京の社宅の床面積が130㎡・大阪の社宅の床面積が80㎡であるとすると、
それぞれを単独でみれば小規模な住宅に該当することとなる。
しかし、床面積の合計は210㎡(130㎡+80㎡)となるため、小規模な住宅でない住宅に該当する。

したがって、東京及び大阪の社宅の賃貸料相当額はいずれも、先述した計算式により算定することになる。

 


〔まとめ〕
・会社が役員に社宅を貸す場合、相当額の賃料を取っておかないと給与課税となる。

・役員の給与とみなされると源泉所得税だけでなく、役員給与の損金不算入として法人税も課せられる。

・賃貸料相当額は計算式により適正に算出する

 


〔ちなみに〕
社宅が一番分かりやすい(明確に賃貸料が計算できる)ので例に出しましたが
会社所有の車を使用するとか、その他の資産を使用するときは使用料を支払うことが必要になります。
適正な賃料を支払わず調査で指摘を受けると、
給与による源泉所得税課税と、損金不算入による法人税の修正申告でダブルパンチの追徴課税を受けます。
間違いがあればすぐにわかる上に税金を取りやすいポイントなので、税務署も調査でよく見てくる項目ですね。
それと、通常は上の計算式で計算した賃料相当額は世間相場よりは安く算出されるのですが、
役員用に社宅を豪華な仕様にした場合は世間相場並みの高い賃料を支払う必要が出てきます。
※役員用の豪華な使用とは
①床面積が240㎡以上ある
②床面積が240㎡以下でもプールやシアタールーム等役員個人の嗜好を著しく反映している
以上①②のいずれかに該当する場合