就活生に対する自社製品の贈与

【自社製品の贈与は広告宣伝費】
2019年春入社の採用活動はピークを過ぎつつある。
一部の企業では,会社説明会場等で自社製品を配布したり,不採用となった学生宅に「今後とも弊社をよろしく」という趣旨のメッセージを添えて自社製品を送付したりする場合もあるようだ。
これらに要した費用は,「交際費等」には該当せず「広告宣伝費」となる。

【交際費と広告費の概要】
交際費等とは,「得意先や仕入先等」に対する「接待,供応等」の行為のために支出する費用をいう( 措法61の4 ④)。
一方で広告宣伝費とは,販売促進や企業の知名度アップ等を目的とする広報活動費用をいい,「不特定多数の者」に対して「広告宣伝効果を意図」して支出する費用は広告宣伝費となる( 措通61の4 (1)-9)。

 

【就活生への自社製品の贈与について】
今回のケースでは,
①企業が贈与した物品が自社製品であり
②贈与した相手が「得意先等」ではなく,「接待,供応等の目的」でもないこと
以上から,通達で示されている「一般の工場見学者等に製品の試飲,試食をさせる費用( 措通61の4 (1)-9(5))」と同様のものであるといえる。

いずれも会社の良さを知ってもらい,今後の購買につなげる「広告宣伝効果を意図」した物品贈与であると考えられるためだ。

【不特定多数の者の範囲】
自社にエントリーしてきた学生や不採用となった学生を「不特定多数の者」と言えるかについては,
自社に就職を希望する学生等である就活生も,一般消費者であることに変わりはないため,企業側から見れば「不特定多数の者」となるといえる。
不採用となった学生に自社製品を贈与する場合でも,不採用者は不特定多数の者の中から結果的に選定したにすぎず,不特定者であることに変わりはないと考えられる。