接待交際による飲食費5,000円基準と不正計算

〔交際費の取扱い〕
法人税の計算上「1人当たり5,000円以下の飲食費」は交際費等の範囲から除外されるが、税務調査では相変わらず参加人数の水増しによる不正計算が把握されているようだ。
会社としては不正の意図はないが接待等を行った社員等が経理担当者に参加人数を偽って報告をしていたものも少なくないという。
交際費等の範囲から除かれる飲食費とは飲食費として支出する金額を参加人数で除した金額が5,000円以下であるものが対象(措法61の4④、措令37の5①)。
1人当たりの飲食費のうち5,000円相当額を控除する制度ではないため、1人当たりの金額が5,000円を超えた場合にはその費用のすべてが交際費等に該当する。

 

 

 

〔交際費の範囲から除外する要件〕
また同制度は
①飲食のあった年月日。

②飲食等に参加した得意先仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係。

③飲食等に参加した者の数。

④その飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地を記載した書類を保存している

以上①~④を満たしているに場合に限り適用がある(措規21の18の4)。
 


〔税務調査のポイント〕
接待等を行った内容について正しく明細書等に記載されていることが要件とされているため、
税務調査では一の飲食代が分割されていないか、参加人数の水増しはないか、接待等の相手先に偽りがないか等をポイントに確認が行われるという。

接待行為は会社として行われる性質を有するため、
所得の計算上、参加人数の水増しなどが行われていた場合には“会社が不正行為を行った”と認定され、
仮想・隠ぺいを行ったとして重加算税の対象になる可能性もあるので注意が必要だ。

参加人数の水増しといった問題は税務というよりコンプライアンスの問題とも言えるが、
経理担当者としては例えば明細書等に“接待等を行った社員の氏名”を記載する欄を設けるなど、改ざん防止に向けた一定のルール作りも重要といえそうだ。

 


〔まとめ〕
・会社交際費は一人頭5,000円以下であれば経費計上できる。

・経費計上のためには①~④の要件を満たす必要がある。

・要件の改竄は悪質な場合は重加算税(税額の35%~40%の追徴加算税)が課せられることもある。

 


〔ちなみに〕
交際費は税務調査でもよくチェックされるポイントです。
特に上で書いたように要件は内部の人間による改竄が容易なので詳しく見られます。

参加人数の水増しの具体例で言えば

「会社の人間2名・取引先の人間2名の計4名で24,000円の飲食接待を行った。」場合

24,000円÷4人=6,000円>5,000円→交際費による経費計上できない。
ところが
24,000円÷5人(1人架空の水増し)=4,800円<5,000円→交際費による経費計上できる。
としてしまえる。

重加算税認定されてしまうと交際費で経費にした以上の税金を納めなければならなくなるので
やはり公明正大な申告が必要になります。