悪口が止められない人

お盆休みに母方の祖母の家に遊びに行きました。
久しぶりの孫の来訪に祖母が喜んでくれている様子を見るだけで来てよかったと思えたのも束の間。
話す内容はすぐに祖母の長男の妻の悪口でした。

祖母の家には3時間ぐらい滞在していたのですが、お互いの近況を話したのは最初の30分ぐらい。
残りはずっと祖母が言う長男の妻への悪口の話でした。

2時間以上も人の悪口を聞くのなんてしんどいと思う方もいるでしょうが、それがそうでもないのです。

 


この年代の人の特技なんでしょうか?悪口をポップに話すということは。
容姿も性格も学歴もその家族もそりゃあもう酷いぐらいにけなすけなす。
多分、文字に起こしたらとんでもない鬼姑だと思われるでしょう(悪口を言う時点でいい姑ではないことは事実ですが)

でも語り口がまるで笑い話のように喜々として笑いながら話すもんだから何だかそこまで深刻に思えない。
それに日本人はあまり人を誹る文化ではないですから、普通の感覚で言えばそこまで強烈に人を直接的な言葉で貶めたりしないのですが
そんな文化お構いなしで悪口をぶん回していくスタイル。
150センチにも満たない弱々しい体から放たれる猛毒の悪口ぶん回し。そのギャップに何だか笑えてしまうのです。

もちろん本人や、その親しい人が聞けば、いくら明るく話をされても、実態は悪口なのですから心中穏やかではないでしょう。


そしてその次の日に僕は自分の実家に帰りました。
お盆という事もあって母は、僕にとっての父方の祖母(つまり母から見ると姑)に会ってきていたようだったのですが
そこでも悪口の話になりました。
母が世話をしに祖母を訪ねると、祖母は母の事を面と向かって悪く言うようです。
具体的に何を言うかは憚られるようで母から聞きませんでしたが、母曰く「姑の家から帰ってくるときに言われたことを思い出して涙が止まらなかった」
とのことなので相当なことを言われたのでしょう。

その時、母はなぜこの年代の人達はこうも口汚く人の事を貶せるのか不思議だと言っていました。
僕が30歳、母が60歳、祖母が80代後半。その年代の人は人の事を悪く言う習慣が染みついているのでしょうか。
おそらく父方の祖母の語り口も第三者が聞けば笑い話のように面白おかしく話しているのでしょう。

そして母はこうも言っていました
「なぜ姑が私の事を口汚く罵れるのか不思議だったけど、自分が今、姑の立場じゃないから分からないだけかと思っていた。
でも今あんたが結婚して私が姑の立場になっても、訳もなく人を貶す気持ちがさっぱり分からん。」

「あんたの嫁の事を何が何でも貶してやろうなんて全く思わない。付かず離れずのいい距離感で付き合っていけばいいと思ってる。」と。


姑からの子の嫁に対する悪口について。姑の立場である母方の祖母が語っていました。
悪口をいう原因として「息子が嫁に取られたと感じる」だそうです。
子供が独り立ちすることにより、母親として子にしてやれる母親の役割が激減してしまうんですね。
今まで母親として長年生活してきたのに、いきなり手持ち無沙汰になってしまう訳です。
急にやることがなくなって、今まで通り子に構いたいけど、その役割は嫁が代わりにやっている。
自分がずっと担当していた仕事を後輩に取られた心境と似ているのでしょうか?
しかも姑はもう社会的な仕事もリタイアして、日がな一日家にいるだけですから、言ってしまえば暇な訳ですね。

暇を持て余して、今まで子にかけていたエネルギーも持て余して、その矛先が子の嫁に向いてしまうのでしょう。

母方の祖母が言っていましたが、それを緩和する為の案として
「子の彼女という存在を若い時から母に意識させておく事が必要だった」が挙げられると言っていました。
それこそ学生時代から家に付き合っている彼女を招くことにより、
母も「ああ、私が出来る役割もその内無くなっていくのね」と感じるよう慣らすことが大事ということです。

子の女という思考が慣れていない状態からいきなり、子も子の世話の役割もすべてを嫁が担うようになることにより
取られたと感じてしまうのだという事です。そして攻撃的になってしまうという構造という事です。

もちろん祖母が分析したことなので、的外れな事を言っている可能性もあると思います。
しかし別れ際に祖母が言っていた「悪口は体が弱っても出てくる」という言葉が頭から離れません。