マッチョをオカズにカフェオレを飲む妻

新婚旅行で妻とハワイに行った。

ビーチに面したホテルに宿泊した。

ホテルの宿泊客は無料でパラソルとビーチベッドとバスタオルを貸し出してもらえるため、少し時間が出来るたびにビーチに赴いた。

 

ハワイは日本人が多いとのイメージだったが、そうでもない。

当然と言えば当然だが沢山の外国人が私たちと同じようにビーチにいた。

そしてこれも当たり前のことだが、アジア系以外の外国人は皆一様に体がデカい。

日本人のようにひょろい人なんて一人もいない。

縦も横も日本人には中々いないサイズをしている。

 

そんなデカい外国人がホテル内を当然のように上半身裸で歩いていたりする。

普通なら、いくら目の前にあるビーチに行くとしてもTシャツぐらいは着そうなものだ。

何だったらタオルを肩に羽織るぐらいでもいい。

なるべく肌の露出を抑えようとしそうなものだが、彼らは違う。

 

出す。とにかく出す。

 

見ろと。マイボディーを見ろと。肉体言語で雄弁に語る。

 

女性は特に尻を出す。

いわゆるブラジリアンビキニというやつを着用している。

私の感覚からすれば、もう尻は全部出ていると思うぐらい出ているのだが
外国人の感覚からすればそれは違うのだろう。

多分、肛門さえ見えていなければ尻は見えていないぐらいの感覚なのだろう。

日本には「頭隠して尻隠さず」ということわざがあるが

それを外国人の感覚に当てはめると大変なことになりそうだ。

「頭隠して肛門隠さず」

とんだ変態野郎だ。

 

そんな変態野郎たちだから少々の視線にはたじろがない。むしろ堂々としている。

その姿を見て私のダイアモンドヘッドがアラモアナしそうだった。

 

私と妻がビーチから部屋に戻るためにエレベータに乗った。

妻はカフェオレを飲んでいた。

すると同じくビーチから部屋に戻る外国人男性2人が同じエレベーターに乗り込んできた。

この二人も例に漏れず、下は海パンに上は裸だった。

私は乗り込んでくる時にちらりとその二人を見たが、どちらもとんでもなく肥大した筋肉を携えていた。

 

私はエレベーターのボタンの前。

妻は入ってエレベーター入って真ん中後方、

その左右にマッチョ2人。

そんな位置関係だった。

 

妻からすると、

右を見ても左を見てもマッチョ。

前を見れば可哀想になるぐらい貧相なガリの私。

 

食い入るようにマッチョを見る妻。

左のマッチョを見てカフェオレをゴクゴク。

右のマッチョを見てカフェオレをゴクゴク。

前のガリは飛ばしてまた左マッチョ、そして右マッチョ。合間にカフェオレ。

まさに至福の時間だったとは妻の弁。

 

途中、左マッチョが妻の視線に気づいたらしい。

しかし動じることなく「Hi!」と爽やかに筋肉スマイルを浮かべてきたらしい。

妻は食い入るようにマッチョを見ていたことを恥じ、今度は帽子を目深にかぶり、マッチョをチラ見しだした。

 

左マッチョチラチラ、カフェオレゴクゴク。

 

右マッチョチラチラ、カフェオレゴクゴク。

 

何かが鼻から出そうだったとエレベーターを降りた後に妻に言われた。

それだけゴクゴク飲んでたんだから出るとしたらカフェオレだろと思った。

 

それ以来、妻はマッチョカフェオレにハマってしまった。

買い物ではなくビーチに行く回数が増え、好みのマッチョを見つけてはカフェオレをオーダーしていたようだ。

日本に帰ったらマッチョカフェを開きたいと語っていた。

私はとんでもないのと結婚してしまった。