1万円超の一体資産は食品部分含めた全体に標準税率10%適用

【軽減税率 食品部分と非食品部分に区分することは認められず】
来年10月からの消費税率引上げと同時にスタートする『消費税の軽減税率制度』では,
一定の要件を満たした“一体資産(例:おもちゃ付きのお菓子等)”の譲渡であれば,飲食料品の譲渡と同様に,軽減税率8%が適用されることになっている。

この点,一定の要件を 満たさない “一体資産”については,食品部分を含めたその全体に標準税率10%が適用されることになる。
食品部分と食品以外の部分に区分して,それぞれ軽減税率8%・標準税率10%を適用することは認められないため注意が必要だ。

 

 


【食品の割合2/3以上等なら8%適用の“一体資産”に該当】
消費税法上,“一体資産”とは,「食品と食品以外の資産が一の資産を形成し,又は構成しているもののうち政令で定める資産」とされている(平成28年改正法附則34①一)。
政令では,飲食料品(食品表示法に規定する食品/酒類は除く)の譲渡と同様に,
軽減税率8%が適用される一体資産(あらかじめ一の資産を形成・構成し,一の資産に係る価格のみが提示されているものに限定)に該当するための要件として,以下の①②が規定されている(平成28年改正消令附則2一)。

● 軽減税率8%が適用される一体資産に該当するための要件
① 税抜価額1万円以下

② 食品の価額の占める割合が2/3以上

 


【一体資産はあくまで“一の資産”と認識】
上記①②の要件を満たさない“一体資産”については,その全体に軽減税率8%が適用されないほか,その一体資産に含まれている“食品部分”にも,軽減税率8%は適用されないことになる。
前述のとおり,一体資産とは,食品と食品以外の資産が“一の資産”を形成・構成している資産である。
あくまで“一の資産”であり,食品と食品以外の資産という2つの資産に区分して軽減税率・標準税率を適用することは認められないことになる。

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【課税資産と非課税資産の一括譲渡は合理的に区分】
この考え方は,いわゆる“土地付き建物”を譲渡した場合の課税・非課税の判定とは異なる考え方となる。
消費税法上,土地の譲渡は「非課税」,建物の譲渡は「課税」となるところ,
消費税法施行令45条 3項では,土地付き建物等の譲渡のように,「課税資産と非課税資産(二の資産)を同一の者に対して同時に譲渡した場合」には,
その譲渡代金を,課税資産部分と非課税資産部分に合理的に区分する旨を規定している。

“一の資産”の譲渡と認識する一体資産(食品と食品以外に区分しない)と,“二の資産”の同時譲渡と認識する土地付き建物(土地と建物に区分する)とでは,
譲渡する資産の単位の捉え方が異なるため,「標準税率or軽減税率」や「課税or非課税」に係る判定の考え方も異なるわけだ。

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